■東京・稲城市「介護支援ボランティア特区」を提案 石田光弘課長に聞く

◆同世代の助け合いで給付抑制めざす

 東京都稲城市(石川良一市長、人口7万8000人、高齢化率14%)は、高齢者が介護保険施設や地域支援事業などのボランティア活動に一定回数以上参加した場合、介護保険料を年間5000円控除する「介護支援ボランティア特区」を6月28日国に特区提案した。実施が認められれば、将来介護保険制度上での「介護支援ボランティア控除」創設を目指す考え。自治体が介護保険料設定を弾力的に行えるようになるかもしれず、他の保険者の関心も高い。稲城市高齢福祉課長の石田光広氏に聞いた。

――稲城市の介護保険事業の状況は
 
 本市の介護保険料は今回の改正で、東京都で5番目に高い4400円(第1号被保険料)。2000年4月の介護保険開始当時が3000円、03年4月改正では3300円でしたから、今回の大幅アップについては、かつてないほど市民からの問い合わせや苦情がありました。

 大幅アップの理由は、本市は高齢化率が14%と低く後期高齢者が少なく、また、要介護認定率も13.4低いことから、国の負担分である『調整交付金』が減額されためです。しかし理由がやや複雑で、なかなか市民の理解が得られません。

 市議会においても、高齢者少なく、保険料給付が少ないことが保険料上昇の要因であるなら、介護予防の推進をする上で、逆インセンティブを与えることになっているのではないか、という指摘もいただいています。

――制度改正では実施見送りとなった「ボランティア控除」を、単独で特区申請されましたが

 当市は昨年度、千代田区と共同で「介護支援ボランティア控除」創設を厚生労働省に提案しました。制度見直しに組み込めるかどうか検討していただいたのですが、賛成意見もある一方で、「ボランティア活動に馴染まない対価的性格があり、本来意義が薄れる」や「保険料は所得に応じて決定されるもの。ボランティアに参加した者の保険料を参加しなかった者に負担させることになる」といった反対意見が多く「ボランティア控除」は見送られました。

 ただ厚労省は「06年4月からの制度改正では実施しないが、保険者等の意見として聴きながら、実施について引き続き検討する」という含みをもつ回答を示しています。 本市としても控除への確信はあり、今回は単独で特区提案することになりました。

――「介護支援ボランティア特区」を提案するねらいは

 時間に余裕のできた元気な高齢者に、生きがいをもって要介護高齢者を支援してもらうことで、地域社会づくりに貢献してもらう。本人にとっても、生きがいをもってボランティアに取り組むことで、要介護者となることが1カ月遅れるだけでも、保険財政面でもプラスになります。特養ホーム入所者や地域支援事業に来られているお年寄りも、ボランティアの地域高齢者と交流することで楽しく継続して参加してもらえます。

――特区提案された「ボランティア控除」の内容は

 控除の要件は、介護支援ボランティアとして、「年間36回以上(1回2時間程度)」または、「3カ月以上継続して週一回(2時間)12回程度」参加することが条件です。内容は「レクリエーション指導、参加支援」、「お茶だしや配膳、下膳の補助」、「散歩、外出、館内移動の補助」、「話し相手」などで、活動実績を確認するため、対象事業は介護保険施設、地域支援事業、ハンディキャブ(ボランティア移送)、高齢者会食会などを予定しています。
 
 こうした要件を満たした高齢者に対して、社会福祉協議会から「介護支援ボランティア証明」を交付してもらい、毎年5月頃に「介護保険料控除申請書」とともに市介護保険担当へ提出していただければ、所得に関係なく、一律年間5000円を介護保険料の当初賦課から減額します。

(2006年9月21日16時50分 シルバー産業新聞)



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